SMILE-3
SMILE-II検出器では一辺30 cmの立方体のArガス1気圧のガス飛跡検出器を、
SMILE-2+ではArガス2気圧のガス飛跡検出器を用いて、
電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)を構築していますが、
ガスの種類や圧力の変更などの改良で、ガンマ線検出有効面積を10 cm2まで向上できる、
と物理シミュレータGeant4を用いた検証から見積もられています。
一方、北極域や南極では、極を中心に周回するような気球実験が行われており、
2週間から1ヶ月という長時間、飛翔し続けるような観測が可能です。
近年では、スーパープレッシャー気球という新しい気球の登場により、
極域以外での長時間気球実験も可能な時代になりました。
有効面積の改良を行ったETCCを長時間気球に搭載し、
天体を長時間観測する(SMILE-3)ことができれば、
電子・陽電子対消滅線の銀河面マッピングやMeVガンマ線天体の銀河面探査、
宇宙背景ガンマ線の非一様性観測、相対論的電子降り込み現象の観測といった、科学観測ができます。
SMILE-3が拓く物理の可能性についても検証を行ないつつ、SMILE-3装置の開発を進めています。