---------------------------------------------------- EOB伸展部/上部カバー間の隙間からの光洩れがXISに与える影響 1997/12/10 粟木久光、堂谷忠靖 ● 概要 技連ASTE-1336の回答に必要な検討項目として、EOB伸展部/上部カバー間の隙間から の光洩れがXISに与える影響を見積もった。その結果、状況によっては、XIS CCD からの出力に、数electronの過剰ノイズが乗り得ることがわかった。これにより、 エネルギー分解能が若干悪くなることが予想される。ただし、評価は大雑把なorder estimationであり、隙間の面積がfactorで変わっても結果の大勢に影響はない。 取るとすれば、光洩れ量がorderで変わるような対策が必要である。 ● 前提 光洩れとしては、EOB伸展部/上部カバー間の隙間からのものしか考えない。 また、この光洩れ量W0(単位W)は、石田レポート(1996/10/10)の結果を用いて、 W0 = 0.93 (h/10mm) [W] でかけるものとする。hは、隙間の幅である。 ● 光がXISに到達するまでのパス XISは、視野方向以外からの光りを遮断するためにhoodをつけている。Hoodには、 baffleがつけられ、CCDが直接hoodの側面を見ないように設計されている。 このため、CCDに直接入射する光は、 middle plate、upper plateで錫箔の張ってある 部分(CCDの端< 11.1度 )に限られる。ここでは、一番影響が大きいと思われるmiddle plate経由で太陽光がCCDに入る場合を評価する。 Base plateとmiddle plateの両方で光が反射してCCDに入るのは、base plateと middle plateの両方で散乱する場合のみである。そこで、base plateで散乱され、 次にmiddle plateで散乱し、CCDに入る光量を推定する。 ● XISに入射する光量の見積り 隙間からもれる光りは、base plate上で帯を作る。この帯の光りが散乱して、middle plateに入る。CCDはmiddle plateの錫箔張り付け部を直接見ることに なる。従って、 散乱光がこの領域に入った時に、CCDに入る。 middle plateの立体角は、 Ωmid/2π = int (sinθdθ) = (1-cos 8) = 0.01 錫箔の張った部分に入る1回散乱光は、 W1 = W0 εBP Ωmid/2π = 1.8e-3 (εBP/0.18) W0 [W] ここで、base plateで等方的に散乱する成分は、全体の0.18とした(石田レポート)。 次に、middle plateからCCDまでの距離 l は、1220 mmなので、CCD上の単位面積 当りの光量w2は、 w2 = W1/2*pi/l^2 εmid = 1.9e-9 (εmid/0.1) W0 = 1.8e-9 (h/10(mm)) [W/cm2] となる。これにCCDの面積(1インチ角)をかけてphoton数に換算(1 photon = 1 eV) し、さらにXISのexposure time(8秒)を考慮すると、 XISに入射するphoton数 = 5.5e11 (h/10(mm)) photons/exposure/XIS となる。さらに、可視光でのoptical blocking filterの透過率(1e-4 〜 1e-5、 ここでは 1e-4 を仮定)を考慮すると、 CCDに入射する可視光 = 5.5e7 (h/10(mm)) photons/exposure/XIS = 52 (h/10(mm)) photons/exposure/pixel ということになる。1 photonが 1 electronを作るとすると、その揺らぎは 7 electron/exposure/pixel 程度となる。 これは、読み出しノイズ、3-4 electronと比べてやや大きく、低エネルギー側で エネルギー分解能が悪化することが予想される。 ● 対策 XISに入射する光量を桁で減らさないと意味がないので、EOB伸展部/上部カバー間の 隙間を狭めるだけではあまり意味がないと考えられる。隙間をなんらかの方法で おおってしまうか、あるいは、middle plateの錫箔を塗料で黒く塗るなどの対策が 考えられる。 ー以上ー