この本は、2年の後学期の量子力学第一、3年の前学期の量子力学第二の
各授業で指定されたものである。
量子力学の本というものは星の数ほどあるが、この本はまずまずといったところか。
授業や試験がこの本に沿って行なわれるため、
他の本を選択することは出来なかった。
演習がふんだんについているのはうれしい。
また、わりと新しい本であるというのも良い(まあ、新しいから良いということは、
必ずしもなりたたないが)。紙質や印刷もきれいで、個人的には好きである。
買って損はないだろう。
ただ、量子力学の本は他にもいっぱい良い本があるので、
比較して自分に合うものをみつけるべきだと思う。
量子力学は難しいので、メインの教科書以外にもう1冊買うのも、
理解を助ける上で(また、どうしてもわからなくなったときにも)便利。
量子力学(1),(2) 小出 昭一郎著 ショウカボウ
もう少し簡単な量子力学の本を一つ。
この本は3年生としてはやや物足りない感もあるが、
直感的にわかるような解説は非常に有益である。
理論的であることは確かに大切であるが、直感、イメージ、といったものも
物理では大切であると思う。
特に量子力学においては、理論的には成り立っているとわかっていても、
それが実際はどのような状態を表しているのか分かりにくいことが多い。
よって、この様な本を副読本として持っておくことは無駄ではないと思う。
読みすすめるのは楽であるし、同じシリーズの演習書も出ているので
参考にするとよい。
1、2年生が自主ゼミをする時の題材としてもよいのでは?
QUANTUM MECHANICS Schiff著
この本は私が初めて読んだ洋書である。
ペーパーバックで、確か3000円ほどで買えると思う。
同じ本で、日本語訳された本を買うと、確かに体裁は立派であるが
3倍近くしてしまう。
理系の洋書を読むには複雑な文法などの知識はいらない。
文章は非常にシンプルである。ただ、問題はテクニカルタームである。
物理学用の辞書として 「文部省 学術用語集(物理学編) 培風館」
などを使うと良いだろう。
統計力学 長岡洋介著 岩波書店
極めて読みやすい教科書。授業そっちのけでこの本で自分で勉強できる本だ
(実際私は統計の授業は一度も出なかった ^ ^;)。
他の統計の本を読んだことが無いので比較できないが、かなり良い方ではないか。
熱学・統計力学演習 久保亮五著 ショウカボウ
物理学科の人なら、皆持っているといっても過言では無い本。
いまさら私ごときが評価するまでもないだろう。ただ、重い・・・(477ページ!)
久保さんは演習書だけでなく、教科書も出している。こちらも評価が高い(らしい)。
相対性理論佐藤勝彦著 岩波書店
物理学科6学期の「相対論」講義のために購入した本である。
担当教官は講義の中で、より高度な内容の本を紹介していたが
(例えば「富田著 相対性理論 丸善」など)、私には少々難しかったので、
この本で勉強した。
内容はいたって平易。非常にわかりやすい。
先に書いた「長岡著 統計力学」と同じシリーズで、難易度も同等程度。
解析力学、Maxwell方程式までの電磁気学の知識があれば、
だれでもすんなり入って行けると思う。
リーマン空間についても一章をもうけて解説してくれているので、
混乱の原因であるテンソル解析も良く理解できる。
入門レベルながらも、アインシュタイン方程式を初めて理解できたときは感動した。