星間空間の重元素量は、宇宙の化学進化を理解する上で基本的なパラメータの一つである。しかし重元素の多くは固体状態で存在しているため、これまでの紫外線・赤外線観測では間接測定しかできなかった。これに対しX線スペクトル観測は重元素量や存在形態について新しい直接的な情報を提供する。その第1は、星間ダストハローの観測である。我々はXMM-NewtonによりX線連星4U1538-22の食を観測し、星間ダストハローのX線スペクトルの時間変化を調べた。ハローと直接光のスペクトル比はベキ-2よりもラットになることが期待されるが、観測はこれと一致しなかった。この結果からダストのサイズ分布や視線上のダストの空間分布について議論する。第2の観測として期待されるのが、星間物質によるX線吸収スペクトルである。特に、Astro-E2のXRSにより鉄の吸収エッジを詳細に測定することが可能になる。エッジの深さから元素の存在量を、吸収端近傍微細構造から元素の化学状態を決定することが期待される。