X線連星やAGNにおける鉄のK吸収線の観測は、降着円盤の高電離ガスを直接的に診断できる極めて有力な手段である。チャンドラなどによる観測で、多くの系において、質量降着率に匹敵する質量放出率を担う降着円盤風が存在するらしいことが分かってきた。これら高電離ガスの起源の理解は、インフロー・アウトフローを含む降着円盤全体のダイナミクスを理解する上で不可欠である。XRSは、過去最高の感度で鉄吸収線の検出を可能にし、同時に、そのプロファイルの精密測定を初めて可能にする。本講演では、X線連星を中心に、これまでの吸収線の観測結果をまとめ、XRSによる観測の意義とその科学的目的についてまとめたい。