石田らによる講演で、Astro-E2 衛星を用いた CV 観測でできる物理について、non
magnetic CV を含む話題までひろく紹介し、私の講演で、話題を Magnetic CV(MCV)に絞り、MCV のプラズマからでる鉄輝線を用いた物理を三テーマ紹介する。一つは、プラズマ起源の鉄輝線を標準光源として使用し、白色矮星(WD)の表面からのコンプトン散乱を見る観測で、我々独自の新しい発想である。検出器の開発でよく使用するGeant4 シミュレータを天体物理に適用し、WD の組成によって、光電吸収と Compton散乱の素過程が起こる比が異なる様子などを予測している。二つ目は、降着流による鉄輝線のドップラーを測ることで降着プラズマの向きを測定する。磁極の位置の情報をもたらす偏光が見えないIntermediate Polar (IP) において、ひじょうに重要な測定となる。三つ目は、寺田D 論ほかで示された共鳴散乱の異方的伝搬の効果の検証であり、プラズマ中の輝線の輻射輸送の物理である。講演では、XRS によるスペクトルの予想と、そこから引き出せる物理パラメータを具体的に示す。