超新星爆発にともなう元素合成により生成される物質のうち、内部に落ち込むものと、外部にはじき飛ばされるものの境界付近で生成される物質は、元素合成のメカニズムを直接我々に伝えてくれる強力なプローブとなる。調査には核ガンマ線を観測するのが良いが、検出器感度の問題もあり、ひじょうに難しい。そこで我々は、放射性原子核が「電子捕獲による核崩壊」を起こす場合に発生するX線輝線をとらえることにより、ダイレクトに核崩壊を観測することを目指している。具体的には、Astro-E2 を用いて非熱的な超新星残骸 Vela Jr(RXJ0852.0-4622) を観測することにより、44Ti と 59Ni の核崩壊によるX線輝線をとらえ、元素生成量の定量的な情報を得ることを目標にしている。