コンパクト天体への質量降着流では、降着している物質の一部がアウトフローしていると考えられている。アウトフローはたいてい光学的に薄く、その物理状態はエネルギースペクトルの吸収線から調べられる。近年、少数の弱磁場中性子星(低質量X線連星系; LMXB)から吸収線が検出され(上田 et al. 2001等)、LMXBにおけるアウトフローの存在が確立されつつあるが、検出噐のエネルギー分解能が不十分なため吸収線と再放射線を分離できず、いまだその物理状態の詳細は不明である。さらに、RXTE衛星PCAで観測されたinclinationの異なるLMXB間における連続スペクトルの比較から、アウトフローは等方的ではなく降着円盤に沿った方向により強く吹き飛んでいるという示唆が得られている(高橋D論 2005)。そこで、Astro-E2衛星XRSでPV観測されるGX 13+1 (face-on)とCir X-1(edge-on)の吸収線構造から、アウトフローの物理的な描像を明らかにしたい。