近傍銀河に見られる大光度X線源(ULX)は、〜100倍の太陽質量をもつ中質量ブラックホールの候補天体であるが、通常の高密度天体がビーミング放射しているという可能性も否定しきれていない。最近、可視光観測により多くのULXのまわりに可視輝線を発するNebula(数100pc)が存在することが明らかになってきた(Pakull, Mirioni 2002)。この可視輝線がULXからの等方放射によって励起されているのであれば、ULXの放射の大部分を占めるX線領域でも輝線を発しているはずである。水素柱密度〜2e22cm-2のNebulaに対し等価幅〜20eVの6.4keV鉄輝線が見積もられる。よって、Astro-E2でのX線分光でこのような輝線が観測されれば、ULXがビーミングではなく等方放射しているという理解に大きな進展が得られる。