高エネルギー分解能が非分散で得られること,数10keVまでカバーするバンドの広さを考えると,Astro-E2は"diffuse"ソースの乱流・イオン速度分布,電子エネルギー分布を総合的に研究するのに適している.ASCA/Chandraで大きく進展した超新星残骸での衝撃波加速の研究では,Coulomb損失領域をいかにクリアして高エネルギー領域まで粒子が加速されるのか未だ解明されていない問題があるが,熱的領域〜Coulomb損失領域〜加速領域をカバーして観測できるうえにイオンの速度分布を得ることができるので,高エネルギー粒子加速の物理について貴重な手がかりが得られると期待される.また,2次オーダーの加速であるstochasticな緩い加速が,銀河(ISM) や銀河団 (ICM) など,これまで第ゼロ近似でMaxwellianとしてきた様々な高温プラズマに関わっている可能性があり,energeticsの議論を大きく変えるかも知れない.ここでは,乱流や非Maxwellianに特徴的な線スペクトルの検出が鍵になる.物理過程の他,銀河リッヂ〜star burst銀河〜バルジの発達した銀河のX線観測から探る銀河の進化など,宇宙物理的観点についても触れる.