銀河系中心領域の星間物質は、数千万度にも達する希薄な高温プラズマ、低温の巨大分子雲やミリガウスの強磁場で満たされている。このような特異な星間空間で爆発した超新星は、他の領域にはない独自の進化をすると考えられている。Astro-E2 では透過力の強い2 keV 以上の硬X線領域で、銀河系の視線方向の大きな星間吸収を受けずに、エネルギー分解能 1000 に迫る分解能を用いてプラスマ輝線診断を行うことができる。輝線の電離度から、電子温度と平衡かどうかを検証し、超新星残骸の年齢を推測することができると予想される。超新星残骸の年齢はそのまま超新星率に対応するので、銀河系中心の星形成進化のプローブとなる。一方超新星残骸のダイナミクスは、周りの星間物質に強く依存するので、輝線幅やドップラーシフトとして捕らえられるだろう。当講演では銀河系中心に一番近いところに位置する超新星残骸候補 Sgr A East について主に講演する。