銀河団のクーリングフローを抑制するプラズマ加熱や、非熱的放射の起源という、「あすか」以来の課題に対する有力候補として、我々は磁場を介した銀河とプラズマの相互作用を考えている。その直接的な証拠として、XRS でプラズマが銀河の運動に追従して引きずられている様子を捉えたい。具体的には、銀河団の全体に対して数百 km/s 以上異なる視線速度をもつ銀河の周りのプラズマから放射されるヘリウムライクな鉄の共鳴線のブルーシフトを観測する。この目的にとって最も有望な銀河団は A2634 で、中心の大きな連銀河 NGC 7720 が、それぞれ -250 km/s、-1300 km/s、という大きな速度差を持って運動している。我々は共鳴線の形から、中心領域のプラズマのうち、どのくらいの量が、どのような速度で引きずられているのかを定量化することで、銀河とプラズマの相互作用の強さを評価する。