近年の研究により前主系列星のフレアは太陽フレアと同じように磁気リコネクションによって起こるものであることがほぼ確実となっており、統一的に理解されている。しかし、太陽の11年周期のような長期的な変動が前主系列星にもあるのかどうかはまったく分かっていない。太陽のフレアも11年周期もダイナモ機構による磁気活動であるので、フレアを起こす前主系列星の光度も長期的に変動する事が期待される。
そこで我々は約4年にわたりX線天文衛星XMM-Newtonによって4回(総観測時間約170~ks)とChandraによって5回(総観測時間約1010~ks)観測されているオリオン星形成領域(M42)のデータを解析することにより、前主系列星からのX線放射の長期的な時間変動を調べた。8回以上観測された14の点源を解析した結果、検出した天体のX線フラックス(0.5-8.0 keV)はすべてが長期的に変動している一方、スペクトルの形に変動はないとしても矛盾はなかった。