Sgr B2は銀河系中心領域にある数百万太陽質量もの重さの巨大分子雲である。X線の観測では、非常に強い中性鉄輝線、4 keV以下でのlow energy cutoff、7.1 keVの中性鉄のエッジ構造といった特徴的なスペクトルを示す。蛍光X線のイメージは銀河中心方向のみ明るい三日月形をしており、この天体は外部のX線源に照らされて蛍光・散乱X線を放射するX線反射星雲と呼ばれるべきものだと考えられる。近年インテグラルによる観測で 200 keVまでのCompton散乱X線が観測され、この仮説を支持する結果が得られた。Astro-E2搭載のXRS検出器を用いた観測では、その高エネルギー分解能によりCompton shoulderなど新たな情報を得ることができる。これにより散乱角を決定し、照射源を特定することが可能である。