Mixed-morphology 型超新星残骸 (MM-SNR) の代表例として知られる IC 443 の観測を提案する。この天体 には「あすか」と XMM-Newton による観測で過電離プラズマ—系の電離温度 (輝線強度比から求められる) が 電子ガス温度 (連続スペクトル形状から求められる) より高い—の存在が 示唆されている。これは、今まで謎で あった MM-SNR の素性を通常のシェル型 SNR と統合して説明すると共に SNR の進化階梯に今まで知られて いなかった新たな段階を浮かび上がらせる。 この電離温度は、しかしながら電離輝線構造の複雑さと検出器感度特性の細かい変化を分解するだけの検出器 が存在しなかった為に、「疑問の余地無く証明された」と断じることができておらず、また更に細かい物理環境の 決定も妨げられている。これを可能にするのは広がった天体に対して eV の桁のエネルギー分解能を有する検出 器だけである。 そこで、この性能を史上初めて持つ XRS で観測する事により、MM-SNR における物理環境を明確にし、こ れを含んだ SNR の進化の統一的な描像を確立する。IC 443 は大きく広がった天体なので、XRS 視野中の輝度は そう高くなく、長い観測時間が要求される。そこで、本提案は2段階構成を取り、最初の1点で基礎データとして の MM-SNR プラズマの代表スペクトルをともかく取得し、観測時間が許されるなら更にもう1点で MM-SNR の進化の解明に必要な空間的なスペクトル変化情報を取得する。