鶴 剛 / X線天文 / ブログ
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2012
私たちは,X線天文衛星「すざく」を使って宇宙の研究をしています.世界の多くの人が「すざく」を使いたいと思っていますが,観測できる時間には限りがあります.従って,競争になります.提案書を書き,審査され,高い得点を得たものだけが,実際の観測を認められます.これをプロポーザル制と言います.
通常の観測とは別に「キープロジェクト観測」という枠があります.重要なサイエンスに対して長時間の観測時間を割り当てる,というものです.今回,これにはじめて応募しました.
通常の提案書が4ページで日本語で良いのに対し,キープロジェクトは8ページ,さらに日米両方で審査されるので英語で書く事を求められます.そして審査員の前でプレゼンテーションをしなければなりません.1回目は日本側に対して,2回目は日米合同の審査委員会に対してです.2回目のスライドを【こちら】に公開します.
正直,大変でした. 研究室メンバーに手伝ってもらい,提案書もプレゼンテーションもずいぶん時間をかけました.もちろん,研究成果のプレゼンテーションは散々経験があります.しかし,提案審査のプレゼンテーションは違いました.研究成果は基本的に自分の考えを鋭く主張すれば良い.しかし,提案書は「きっとこうだろう」という自分の予想(好みと言っても良い)だけを喋ると,「結構,では,その予想が外れたら,この観測は全部無駄になるんですね?」というシビアな反論が来る事になる.好みは好み,予想は予想として,全方位に気を配らなければならない,ということです.
結果は,近々アナウンスがあるでしょう.通ると良いのですが,ダメだったとしても,大変良い経験となりました.
キープロジェクト観測提案の審査
2012/02/22
スライドの最初のページです.全部のページを公開しています.もしご興味があれば【こちら】へどうぞ.